農業ファラシー

農業における誤謬(ファラシー)を中心に。

農業はなぜ間違って語られるか?

 夏目漱石長塚節の代表作『土』に序文を載せた。

「土」の中に出て來る人物は、最も貧しい百姓である。教育もなければ品格もなければ、たゞ土の上に生み付けられて、土と共に生長した蛆同樣に憐れな百姓の生活である。(……)彼等の下卑で、淺薄で、迷信が強くて、無邪氣で、狡猾で、無欲で、強欲で、(……)苦しい百姓生活の、最も獸類に接近した部分を、精細に直叙した

 「土」に就て 漱石

http://www.aozora.gr.jp/cards/000118/files/1745_16941.html参照。

 

 百姓を蛆と蔑み、遅れた野蛮な存在と看做す風潮は夏目漱石に限ったことではない。

 農業について語られてきた多くの言説は多分に差別主義に基づいたものであった。

 漱石自身が差別主義者でなかったにせよ、現代の感覚と相容れないものがそこにはある。しかし、現代の農業・農家を語る姿勢の背後に、 百年後の人びとにとっては、断じて受け入れられないような、差別的と思われるような言説が含まれてはいないだろうか?

物納小作制

 物納小作制が維新で廃止されたということは、農民が武士に上納するという身分制と同時に、農本主義と農民の生活を向上(し、武家身分も維持)するというモチベーションも廃止されたということだ。
 そのインパクトは、貨幣経済の導入よりも、クレジットを金融部門が管理することで、脱‐集落営農的な競争原理から農地を大規模化せよと要求されることと、そのためにはクレジットを土地(=農地)から土地へ折り畳み的に再起化させる必要があるという、担保による障壁が生じることとの相反関係に大きく現れたとおもう。
 そこでは、クレジットはたんに土地にのみ化体するのであって、農業技術如何といったものは当然、度外視される(物納小作制時代なら米の収量を介して農業技術の高低が重要視される)。
 結果、農業の原理を排除した資本の大量投下により資本を回収するという農業抜きの農政が実施される。
 実際上の農業経営とは解離され、農業経営改善のために農業経営改善を意識しないという奇妙な構図ができあがった。

殺すために殺すという蛮行

 

羆撃ち (小学館文庫)

羆撃ち (小学館文庫)

 

 アメリカで著書は、生き物の命を奪うことに快感を得る者のためのスポーツハンティングに参加した。

 クーガーを殺すときに「猫と同じで」という。

 意味がわかるだろうか?

 著書がかつて、猫を追い回して殺したことがなければ意味が通らないだろう。

 必要だから、生活だから、それで許される蛮行とは思えない。

 

 野良猫が殺されると、いまに人を殺すようになる、と言われる。

 小学館はそれをよしとしたということだ。

 

 トランプファミリーのハント。

 

 殺すために殺す愚行。反吐が出る!

 

はじめに答えありきの農業論は、暴力だ。

 

 

 

 出版時点ですでに死語だったスローフードを取り上げている。

 

 スローフード発祥の地であるうえ、ファシズム発祥の地であるからというだけで、安直にスローフード=左翼的全体主義を導く。
 しかし、軍国主義発祥の地である鹿児島はサツマイモの一大産地であるから、イモを食うやつは軍国主義者であるというバカがいるだろうか。
 部分を全体で喩え、その全体を別の部分で喩えるという再置換法的詭弁。
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 だいたい、スローフードを左翼レッテルにしたいのか右翼レッテルにしたいのか、揺れすぎ。

 

有機=反グローバリズム


 有機肥料の施用が増えた背景は決して速水が言うように反グローバリズムの影響ではない。
 有機肥料の施用が国内で大々的に奨励されたのは1984年の「地力増進法」からである。これはスローフードがイタリアで主張されはじめた1986年より前であるし、グローバル化より前でもある。ましてスローフードの概念が日本国内に輸入されはじめたのは21世紀になってからなので、どうにもならない時代的錯誤がある。
 もともと有機肥料が推奨されたのは、作物にとって最重要視されるチッ素が、化学肥料としては石油精製物であることに起因している。つまり、オイルショックの影響で未利用堆肥の施用を奨励しなくてはならなくなったのだ。


有機=左翼?


 また、1983年時の政権はタカ派としてしられた中曽根内閣である。左翼政権ではない。
 イタリアは簡単に右左で分けられない政治風土がある。たとえば、五つ星運動は右か左か、のような。スローフード運動も同様である。

 成田闘争の特異性としてあるのが、右翼も参加していたことだ。なぜ右翼活動家が参加したかといえば、空港建設予定地にはもともと天皇家御料牧場があったからだ。そこでは、有機肥料・堆肥が施用され化学肥料は忌避されていた。左翼はといえば、反権力のほうに夢中だった。
 それもそのはずで、元来、農業における化学肥料や農薬や大規模化や組織化や科学技術利用といった題目は、社会主義国(もちろん右も左もあるが)においてこそ推奨されたものなのだ。

 

「フード右翼」による民主化はあるか?


 速水はジャンクフードを好むフード右翼(語彙センス死んでんのかよ)が、むしろ民主主義を加速させるという。
 だが、それは民主主義とは関係がない。その意見に立脚すれば、中国のマクドナルドと日本のマクドナルドが根本的に異なることになるが、それは問題の外部性と内部性の混同に過ぎない。マクドナルドのハンバーガーを食べることそれ自体は中国が民主化されるか否かとはなんらの関係もない。もし、食を通じた投票行動、なるものを信じるなら、それはフード左翼と呼ばれるべきだろう。
 北朝鮮マクドナルドがないのはマクドナルドによって民主化されていないからではなく、民主化されていないからマクドナルドの出店が認められないだけである、なんて当たり前のことをわざわざ言わせないでほしいものだ。
 シンガポールの人口あたりマクドナルド出店数は多いが、シンガポールは民主主義国ではない。一党独裁どころか王朝化してきている。

 

各国マクドナルド出店数のリンク

 

 

 

儲かる農業

 

儲かる農業―「ど素人集団」の農業革命 (竹書房新書)

儲かる農業―「ど素人集団」の農業革命 (竹書房新書)

 

  手元にあるのは、2009年の単行本版であるので異同があるかもしれない。

 

「儲かる農業」は健康か?

 

 早朝の作業が一段落すると、プラスチックケースをひっくり返しただけの簡単なテーブルに食パンとコーヒーを並べ、簡単な朝食会が始まる。食パンにはさむのは、もちろん採れたてのレタス。たっぷりと何枚も重ね、その上にハムやスライスチーズを乗せ、マヨネーズをつけてサンドウィッチにする。(『儲かる農業』p24)

 コンビニやハンバーガーチェーンで多くの日本人がトップリバー社のレタスを食べているだろう。https://www.topriver.jp/image/index_sp03.jpg

 トップリバーのサイトから青々としたレタス。

 だれが栽培したものであれ、消費者はその栽培過程に責任をとるべきと私は考える。

 あなたが日頃、自分のみならず家族に食べさせているレタスの履歴の話だ。

私は腎臓が悪く、週に三回ほど近くの病院で人工透析を行っている。

(前掲書、p186)

 それでいいなら、そうするがいい。

http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0022/G0000634/0061

 

 おいしくて健全なレタスは、白く軽いもの。肥料浸けにすれば、青くて重いものができるし、回転もよくなる。年2回転を4回転にすれば、単純に売上は倍になる。重ければキロで売るから、一玉あたり単価が増える。青ければハンバーガーなど加工したときに見映えがいいから高く売れる。それでいいなら、そうするがいい。勝手にしたらいい。本当にあなたがたの健康を考えている農家をバカにし続けろ。

 

 本当に「儲かる農業」は儲かっているか?

 

嶋崎秀樹のひどい講演。

農業業界で利益率10%というのは殆どいません。

または、

大半の農家は儲かっていない(前掲書、p171)

はまったくのウソだ。

https://www.pref.nagano.lg.jp/nogi/keiei/documents/keiei_list.pdf

 は、トップリバーと同じ長野県の農業所得の表。

 野菜の所得率(農家では利益=所得)で10%を下回るほうが難しいのがわかる。ウソしかつかない卑しい本性が窺えるだろう。

 他方、

二〇〇八年度(平成二〇年度)には、一〇億九〇〇万円を売り上げることができた。 (p45)

とある。100haで10.09億。反収(1000平米あたり売上)にして100.9万は確かにレタスでは驚異的な数字だ。ふつう、その1/3がいいとこだろう。ただ、反収100万は大したことではない。ナスでは農協に売りっぱなしでも、兼業でも、有機でも、100万を下回ることは絶対あり得ない。100万売上なら5トン採れればよいが、いまは品種改良のおかげで7トンは嫌でも採れる。

 

 

「儲かる農業」は一般企業の常識を農業に取り入れたか?

 労働問題の側面から。

第一次産業というのは1週間に6日7日、1日15時間働いても、労働基準監督署が怒らないという特別ルールもあるくらいです。これが今の農業の現状なのです。

36協定のこと。これは労務管理の大切さを説き、ブラック企業を排除する発言に思われそうだ。が、一方、

350日は働く、年間に5000時間以上働く、という方がいたら90%以上成功するでしょう。

や、

 五月から一〇月にかけてはトップリバーの主力商品であるレタスとキャベツの収穫に追われることになる。(p24)
 毎日出荷するケース数は決まっており、その数をクリアするまでは作業は終らない。出荷数は毎年伸びているので、ピーク時はまさに早朝から日が暮れるまで野外での収穫作業が続く。
 夕方、ノルマをクリアした従業員たちは事務所へと戻ってくる。日に焼けた赤い顔に疲労の色が浮かんでいるが、これで仕事が終ったわけではない。農場での作業が終わると、班長を中心に明日の作業の確認などのミーティングを行い、さらにその日の出荷数や状況などのデータをパソコンに入力したり、業務日誌をつけるなどのデスクワークが待っている。
 完全に仕事が終わるのは、早くて七時、遅ければ八時、九時になってしまう。(…)
 夏場のレタスの収穫時になると、仕事は朝の四時から始まる。(…)二週間休みなしに働くということも珍しくない。(p185)

という記述。

 4時~9時までというから、一日16時間。二週間で224時間。法定労働時間は二週間で80時間だから、残業相当が、144時間。

 月に100時間を超過する残業は「過労死ライン」だが、半月せぬうちに超過する。それは、いわゆるブラック企業ではないのか?

 チェーン店や生協、また、テレビ東京カンブリア宮殿」が、これをよしとしているわけだが、看過していいレベルか?

 

農家は数字の管理が出来ません。P/Lとか、B/Sとか、全然わかっていません。私は、農業業界を本当に助けてくれるのは東大、京大を出たような人達だと思っています。東大、京大というのは比喩表現で、要するに頭が良くて心がある人という事です。

一方、

今1番成果を出しているのは中卒の子です。

 と、終始むちゃくちゃだが、そもそも貸借対照表損益計算書ができる程度で賢いという知的水準の低さは群を抜く。

 

 

 「儲かる農業」は本当に補助金だのみではない?

 

http://www.town.miyota.nagano.jp/file/8855.pdf

 では、

 トップリバーの予冷庫への交付金支出

とあり、 総事業費4752万円のうち二分の一が交付対象。また、


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では、収入の減少分を交付金として乞うている。補助金をもらわないのではなかったのか?それとも交付金だから補助金とはちがうとでもいうのか?


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では、農水省から600万円の交付金
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では、900万円の交付金
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では、141万円の交付金補助金をもらっている。

 補助金は悪くないが、

 補助金をうけて守られているから農業はだめだ。

と言っていた人が受けている補助金だ。醜悪ではないか?シンプルに気持ちが悪い。

 

 

において、

嶋崎社長は「秘訣はあるが、秘密など何もない」と言う。

ならば、補助金を受け取っていないフリもやめて、きちんと経営指標を公開すればよい。以下にみるように、マニュアルを公開するとまで言うのだから。できないのは後ろ暗いのか、やっぱりウソか、いずれにせよ、まともな理由などないだろう。

 

 

 

「儲かる農業」の裏に差別心はないのか?

 

 言うことを聞いてくれない農家(太字)
私はある種の苛立ちをつのらせていくことになる。というのも、農業という産業が古くさい慣習に縛られていることを肌で感じていったからだ。 (同上、p32)
 今までのやり方を変えることに強い抵抗感を示す。新しい道を切り拓いていこうと考えない。それが、昔も今も変わらない農家の姿勢なのだ。 (p34)
 農家出身者よりど素人のほうがうまくいった(太字) (p35)
 農業は旧態依然とした産業である。長年、同じやり方を続け、それにしがみついて今日までやってきた。それは仕方のない面もある。戦後の農地解放からはじまって、農業は常に規制と公的援助でがんじがらめに縛られてきた。新しいことに挑戦しようにも、何をすればいいのかわからないという状況が長らく続いてきた。そんな状況に置かれれば、誰しも改革への意欲は失われてしまうだろう。 (p41)
 従来の既得権を守ることだけに目を奪われて、新しいビジネスチャンスを開拓しようとしない。農業のじり貧は、ある意味で農家自身が招いたものではないだろうか。
 私が幸運であったのは、そうした既存の農家の固定観念や常識、慣習と無縁であったということだ。農業への新規参入者であったこと、そして農業経験のないど素人であったことが、かえって私に自由を与えてくれた。 (p42-3)

 自分の裏寒き、根拠なき自尊心を昇華してくれる、最も簡単な方法。それは、他者を蔑み、未開と断じ、“守旧的なさま”を悪しざまに罵り、下に置くことだ。

 

  私がめざしているのが、二〇一二年(平成二四年)までにトップリバーの人材育成システムやノウハウをマニュアル化するということである。(……)これを農林水産省経由で全国に配布してもらうのである。

 マニュアルが全国の農業全体に広まり、やがてこのやり方を言いだしたのが誰なのかわからないぐらい、私のつくったマニュアルが一般化する。誰が考えたやり方というのでなく、誰もが当たり前のように「儲かる農業」を実践する。そんな時代が来るのを私は願っている。 (p130)

(前掲書、p130)

 こんなものは、パラノイア以外のなにものでもない。迷惑だ。

 

 

 

 

本当に減反政策を廃止したか?

 安倍政権は減反政策を廃止するという典型的なウソ。古くさいネオリベ記事。

政府は食べるコメの代替として、家畜用の飼料米補助金で増産する政策を進め、減反政策後のコメ余剰を防ぐ方針だ。しかし、この政策にも疑問はある。

 バカ記者。

 間違い:「減反後」ではなく、すでに米価を引き上げるために飼料用米に切り替えているし、大前提として転作の奨励を予算処置のもとに行うのが「減反」だよ、ほんと日経の記者は頭悪すぎ!そもそも「食べるコメ」だってさ。

補助金頼みの農業

 出た~!アホが語る農政!

自由貿易をいかし、農業を輸出産業として成長させたオランダのような政策が不可欠だ。

 オランダ?スペインに負け始めてるオランダのこと?

 

http://www.maff.go.jp/ › pdf › eu_netherlands

補助金頼りのオランダのこと?

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総所得に占める割合が低いのは、減価償却費がかかるから。「農家」への補助金としては110.8%だ。日経新聞のアホ記者が言うように低いだろうか?

 

 

は、日経新聞日本農業新聞の違いについて触れられている。PSEなんて主要メディアで語られたことなどないだろう。

 

 国会では自民党議員が我々のおかげで米価が高くなって農家が喜んでいる、と言ってたの、くだらない。確かに米価は一時期より上がっている。


 実態は、飼料用に付け替え、主食用は農協に需給ギャップの負担を押し付けただけ。減反廃止でなく、新-減反政策じゃないか。
 今にコメ以外へ負担が回ってくるのは間違いない。

 

野菜は高値か?

 どいつもこいつも野菜高い高い言う。

 

 ゴツい機械買って近代化しろとか、IoTだAIだ、六次産業化だ、法人化だ、バカでも言えることばかり言って代案言えますヅラだけしておいて実際は経産省が言ってることのたんなるコピペ。日経新聞はどうしても頭悪いままだね。
 価格転化されないと思ってるのか。バカか。
 インフレ=円安=農業資材費上昇。「インフレにしろ」と言っておいて「野菜高い」って言うのはアホ。

 インフレで土地投機すすむ。農地が買われて転用され虫食いになる。
 他方で、農地の集約、効率化と言っている。

 現政権は政策に一貫性がない。一貫性を持たせたいなら、農地転用を規制したうえで、ゾーニングしなければならない。
 でもやらないだろう。時代錯誤のネオリベばかり囲ってるから。規制アレルギーなのだ。


 農業への企業参入が進めば野菜は高くなるに決まってるだろう。適当なことばっかり言ってきた連中がいまさら、野菜高い高いと文句言ってる。
 小農への批判が前提になってるのを知らないのか。
 加工品向け野菜について、商社が設定したノルマをこなせば青果向けの野菜の供給を大きく引き下げなければならない。
 100のうち50を商社契約、残りを市場に出しているとき、収量が半減すれば、25-25ではなく50-0になる。
 カット野菜が高くならず青果だけが高騰しているのを見てわからないもんだろうか?頭悪い。
 文句言ってるやつこそ、そうなる政策を応援したくせに、また農家の文句言ってるの、野蛮人。カット野菜100gで100円をよしとするなら、はっきりキャベツ一玉1000円にしろと言え。カット野菜を安いとするなら、一玉500円でも安すぎるはず。

 これからも野菜は高値で推移する。
 安倍政権で農業への企業参入がかなり進んだ。そのほとんどが作付けするのがトマトだ。
 トマトは「指定野菜」で価格保証があるし果菜だし、よってたかって作ったって安全なのだ。
 また、大規模化によってリスク回避できなくなっているのも問題。
 台風被害だとか、それは毎年のことだし、17年は別に多くない。

 国はトマトを作って輸出しろ、と言う。輸出に向く作物であるというのは、相手国もおなじ。トマトは加工品も多く、TPPで海外と競合するだろう。
 TPPがなくとも世界のビニルハウスの7割が中国にある。高収益で露地栽培に向かないトマトは魅力的だろう。

 なにが「強い農業」なのか?固いトマトを大量に垂れ流しているだけのなにが?

 

 

 指定野菜:

消費量が多く価格を安定させる必要があるとみなされる、野菜生産出荷安定法で定められた野菜。