農業ファラシー

農業における誤謬(ファラシー)を中心に。

コウモリによる害虫防除

 蚊を絶滅させようとする動きがある。

 

 しかし、蚊が絶滅すると、それを捕食するコウモリにも絶滅の危機が訪れることになる。

  コウモリが絶滅してもいいのでは?というむきもあるかもしれないが……

 

病原菌を媒介する生物の中で、人家に生息する可能性がある生き物の代表格に「ネズミ」がいますが、コウモリは進化系統的にげっ歯類であるネズミよりも私たち人間に近く、人畜共通の感染症が起こりやすいと言われています。
国外では人畜共通感染症の多くがコウモリ由来であると言われており、カワイイと言って安易に素手で触ったり飼育をすると思わぬ感染症の原因になる可能性があります。


アジアでの狂犬病の媒介者は主にイヌですが、アフリカやヨーロッパ、アメリカ大陸などでは「コウモリ」が共通してあげられるほど狂犬病を持つ生物として認知されています。

家に棲み付くコウモリの生態|種類・寿命・ふん(糞)の形・病気や危険性

 これではおそらく危険な生き物だと感じられてしまう。

 まずオオコオモリがココウモリから切り離され霊長類とされた観察にもとづく分類は昔のことで今はちがう。

 

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(wikipedia)

  たしかにコウモリは狂犬病ウイルスを保有するが、あくまでも接触の濃密さにより感染リスクが生じるのであって、コウモリのリスクは著しく低い。吸血性のものも含め、コウモリと接触する機会が少ないから。

イヌは人の狂犬病の感染源の99%を占めており、大多数の死亡者の原因になっています。(厚労省検疫所)

 コウモリだけでなく、野生動物からは感染リスクがある。コウモリはそのかぎりにおいて狂犬病と関連づけられるのであって、ことさら危険なわけではない。

 一方で、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、コウモリリッサウイルスなど、他の感染症の原因(コウモリ→ウマ→ヒトなど)となることがあるのも事実。ただし、それらの例は、急速な自然環境へのヒトの進出があり、かつ劣悪な医療・衛生環境があるような国のことであり、こんにちの日本の環境でコウモリを恐れなければならない理由では、まったくない。

 

 むしろコウモリは害虫防除としても期待される。

 鳥獣保護法があるので、コウモリを勝手に捕獲・飼育することはできない。が、勝手に棲みついてしまうなら、しょうがない。というわけで、バードハウスのような「コウモリハウス(Bat House)」というものがある。

 

コウモリハウスの作り方↓

大型のコウモリハウス↓

コウモリハウスの簡単な図面↓

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https://web.archive.org/web/20100428140542/http://www.nara-edu.ac.jp/ECNE/bat/batbox/make.htm

 

 天間舘神社では、トウヨウヒナコウモリのためのコウモリハウスがあり「コウモリ神社」として知られる。

 

  コウモリによる害虫防除は、期待はされながらも、実際にはなかなか定着させるのは難しく、まったく棲みついてくれないという失敗例も多い。

 ただ、野生動物も含めて持続可能な農業がなされ、安全で、環境と調和がとれ、しかも農薬のための費用と労働時間がかからない、そんな農業に近づけたら、とても良い試みになると思う。