農業ファラシー

農業における誤謬(ファラシー)を中心に。

物納小作制

 物納小作制が維新で廃止されたということは、農民が武士に上納するという身分制と同時に、農本主義と農民の生活を向上(し、武家身分も維持)するというモチベーションも廃止されたということだ。
 そのインパクトは、貨幣経済の導入よりも、クレジットを金融部門が管理することで、脱‐集落営農的な競争原理から農地を大規模化せよと要求されることと、そのためにはクレジットを土地(=農地)から土地へ折り畳み的に再起化させる必要があるという、担保による障壁が生じることとの相反関係に大きく現れたとおもう。
 そこでは、クレジットはたんに土地にのみ化体するのであって、農業技術如何といったものは当然、度外視される(物納小作制時代なら米の収量を介して農業技術の高低が重要視される)。
 結果、農業の原理を排除した資本の大量投下により資本を回収するという農業抜きの農政が実施される。
 実際上の農業経営とは解離され、農業経営改善のために農業経営改善を意識しないという奇妙な構図ができあがった。